資金調達方法として用いられているのがファクタリングです。利用することによって、素早い資金調達を実現している他、なかなか売掛金として提供されないような状況を改善して資金にできるメリットを持っています。
ファクタリングは利用される傾向が強まっていますが、利用するためには色々な情報をしっかり見ておかなければなりません。また、使えるものについて知っていないことには、利用できない売掛債権を提供する可能性があります。
この記事では、ファクタリングがどのようなサービスなのか、また利用する際に気をつけるべきポイントを解説しますので、今後ファクタリングの利用を検討している方はぜひ参考にして下さい。
ファクタリングとは売掛債権を現金化すること

ファクタリングは売掛債権を別の業者に売却する形で資金を手に入れる方法です。保有している売掛債権を他社に渡して、一定の金額を受け取るという方法が使われています。資金調達の方法としては期待されているものであり、法人でも個人事業主でも利用できる良さがあります。
売掛債権には一定の条件が付けられているものの、信頼性さえしっかり確保されているようであれば問題なく売却できるようになっているので安心です。余程問題とされているもの以外はすぐに手続きしてくれて、最短60分程度で入金できるようなサービスとして使われています。
ファクタリングにはいくつか種類が存在しており、種類ごとに違いが存在するためしっかり確認しておかなければなりません。
ファクタリングの種類

ファクタリングには主に2つのサービスが用意されています。
- 買取型のファクタリング
- 保証型のファクタリング
主に採用されているのは買取型ファクタリングになります。買取型としているものは定番とされている他、会社としても使いやすいと判断されているため、導入されている傾向が強まっています。買取型についてはファクタリングの中でも覚えておかなければならない方法です。
一方で保証型とされているサービスも用意されています。提供している業者はあまり多くありませんが、保証さえ得られるようであれば売掛金が得られるようになっているので安心感はあります。
同じファクタリングのように思われますが、違いが存在している点に気をつけておきましょう。
買取型のファクタリング

ファクタリングの大半を占めているのは、買取型と呼ばれているサービスになります。
買取型は売掛債権を買取、一定の金額を利用者に対して提供していくという方法です。業者側は売掛債権の審査などを実施した上で問題なしと判断した場合、一定の手数料を差し引くような形で売掛債権を買取り、ユーザーに対して残りの資金を提供するようにします。
買取型が優れているポイントは、問題が起こりづらいというポイントです。しっかりとサービスを提供している業者であれば問題なく買取が実施されるようになり、相手企業に対しても心配されないようになります。業者側としても便利な方法であることから、参入障壁が低いというメリットを持っています。
保証型のファクタリング

保証型のファクタリングは、買取型と違い保証を得ることによってファクタリングを実施していくもので、焦げ付いているような売掛債権でも対応できるようになります。
利用者は保証料を支払うことによって信頼を得ることが可能となり、最終的に売掛債権を売却してファクタリングサービスを利用できるようになります。買取型と違い保証料の支払いが発生している点が異なっているため、手数料が高くなる傾向があります。
利用できる業者は少なくなっているものの、ファクタリングの方法としてはいくつか導入されている企業が存在していることを知っていなければなりません。また、なかなか資金調達ができなくなっている他、買取型では使えないような売掛債権でも対応してくれるケースがあるなど、チャンスは大きく広がっています。
手形割引との違い

ファクタリングと手形割引の違いは、売却するものの違いがあります。
ファクタリングは売掛債権を売却する方法となりますが、手形割引は受取手形を売却する方法となります。売却しなければならないものの違いが存在していますので、間違ったものを持っていくと売却手続きが成立しなくなり、売れなくなってしまう問題が発生します。
買取してくれるという方法ではファクタリングと手形割引にそこまでの違いは存在していませんが、売却するものの違いによってサービスが異なっていることをしっかり理解しておきましょう。手形割引の際は受取手形を売却し、ファクタリングの際は売掛債権を持っていくことが大切です。
ABL(売掛債権担保融資)との違い

ファクタリングとABLの違いは、買取と融資の違いとなります。
ファクタリングは売掛債権を買取方法として資金を提供していますが、ABLについては売掛債権を担保として差し出して資金を融資してもらう方法となります。買取で提供しているファクタリングは返済の必要はないものの、ABLは融資を受けることとなりますので返済しなければなりません。
売掛債権を利用している方法としては同じように思われるサービスですが、ファクタリングの場合は売掛債権を買い取ってもらい資金を受け取るという方法であることを理解しておきましょう。ABLと違い融資を受けているわけではないため、基本的にファクタリングには返済というものがありません。
ファクタリングの仕組みを図解で解説
ファクタリングには2社間と3社間の2種類が用意されています。
2社間ファクタリングは近年利用されている傾向が強くなっている方法として用いられており、業者側と利用者だけで解決することを狙っていく方法です。売掛債権を売却していることを知られないようにする場合は2社間ファクタリングを利用していく傾向が多くなっています。
一方で3社間ファクタリングの場合、売掛先にも加わってもらい手続きをする方法となります。売掛先にも情報を提供することによって信頼性を得ることが可能となり、売却時の手数料などを抑えられるようになるメリットを持っています。ただ、時間がかかってしまうためすぐに資金を得られなくなっています。
2つの方法はしっかり理解しておかなければなりませんし、場合によっては業者が対応していないというケースもありますので、利用できるかどうかをしっかり確認しておく必要があります。
2社間ファクタリングは売掛先に知られない契約方法

2社間ファクタリングは、売掛先に知らせることなく、利用する業者とユーザーだけでサービスを完結させるというものです。
利用者は業者側に売掛債権を提供し、審査を受けます。審査が終われば業者側は速やかに売掛債権を売却して資金を提供します。手数料は高くなっていますが、スムーズに売却が進めば当日中に完了していることも多くなっているなど、近年のファクタリングでは多く採用されている方法です。
売掛債権を売却していることを知られないというメリットがあるため、相手企業に対して気づかれるような問題がなくなり、信頼関係の問題が起こらない良さを持っています。また、短時間で処理できるファクタリングを実現できるようになっていることから、どうしても資金調達に時間が足りないと感じている人が利用していくケースが多くなっています。
なお、個人事業主は2社間ファクタリングが主体となるケースが多く、3社間ファクタリングを利用しようとしても断られるケースがあります。
債権譲渡登記をすると売掛先に知られる可能性がある

債権譲渡登記が存在している場合、売掛先に知られる問題が発せいするケースもあり、業者側もしっかり債権譲渡登記について確認しています。
債権譲渡登記が存在していると、譲渡している売掛債権の情報が通知されるようになってしまうため、本来では知られないような情報が売掛先に知られるようになってしまいます。ファクタリングを実施すると、売掛先に対して情報が通知されることもあります。
売掛先がファクタリングを認めているのであれば問題ありませんが、認めていないのであれば問題が発生し、今後の取引を停止されるような状況が起こってしまう可能性もあります。2社間ファクタリングを利用する際は、債権譲渡登記が存在しているかどうかを事前にチェックしておく必要があります。
3社間ファクタリングは売掛先に通知が行く契約方法

3社間ファクタリングは、売掛先にも加わってもらい、通知や情報を提供しながら売掛債権を売却していく方法となります。信頼性を重要視している人が採用している方法となります。
売掛債権を売却する際に、業者側が売掛先に対して連絡を入れるなどして、情報を提供するようにします。売掛先に対してしっかり情報を提供することによって、相手の信頼や許可を取ってから売却していく方法となりますので、売掛債権を売却したことによるトラブルが起こりづらくなっているメリットを持っています。
また、売掛債権売却時に手数料が発生しづらい傾向があり、ファクタリングによって手数料を多く取られるような状況を作ってしまう心配もありません。少しでも手数料を抑えたいと思っているのであれば3社間ファクタリングを利用するといいですが、余計な時間がかかってしまう可能性が高いため注意してください。
なお、一部の業者では3社間ファクタリング自体に対応しておらず、利用したいと思っても認められません。
ファクタリング利用時の注意点

ファクタリングを利用する際には注意しなければならないポイントがいくつか存在しています。いずれも重要なポイントとなっているため気をつけてください。
- 不良債権はファクタリングの対象外
- 違法なファクタリング業者の特徴
よく売却しようと考えている売掛債権の中に、不良債権に該当しているものがあります。不良債権を売却して資金を得るという方法を取れば、不良債権も問題なく処理できると思われているためです。しかし、ファクタリングでは不良債権を認めてくれないため、利用したいとしても除外されてしまいます。
また、ファクタリングには違法とされている業者が存在していることを知らなければなりません。一見すると認められているようなサービスが、実は認められていないようなサービスとなっていることもあります。特に給与ファクタリングについては許可されていないサービスとなりますので、間違っても利用しないほうがいいでしょう。
ここからは、ファクタリングの注意点について詳しく説明します。
不良債権はファクタリングの対象外

会社にとって厄介な存在として出てきているのが不良債権です。不良債権を処理したいと思っているのは誰でも同じことですが、ファクタリングで不良債権を処理することはできなくなっています。
ファクタリングで認められているのは、売掛債権として信頼できるものと判断された場合だけです。業者としても審査を行っており、不良債権ではないか判断しています。不良債権と判断されたものについては、回収できる見込みがないとして審査で落としてしまい、ファクタリングは利用できないと通知されてしまいます。
断られる理由としては、不良債権を売却しても業者側に利益が入らないためです。ファクタリングされた売掛債権は将来的に業者側に資金を提供しなければなりませんが、不良債権の場合は何も入ってこないため現金化した金額だけ損をすることになってしまいます。問題が起こらないようにしっかり調査した上で判断しているのです。
不良債権を処理できれば確かに優れているサービスではありますが、業者側も営利目的でサービスを提供しているものであり、わざわざ債務を作るようなサービスは提供していません。不良債権は間違っても持ち込まないようにしてください。
違法なファクタリング業者の特徴

ファクタリングはすべてが認められているのではなく、一部に違法とされているサービスが含まれているため気をつけなければなりません。
違法とされているサービスは大きく分けて2つ用意されており、どちらも理由があってファクタリングサービスの対象から外さなければなりません。しかし、一部の悪質業者ができるという間違った情報を提供することによって、ユーザーに対して悪質なサービスを提供していることも事実です。
特に気をつけたいのが給料ファクタリングであり、利用できるとされているように思われていますが実は禁止されている事項に該当している場合があります。利用できる事業者には限度が存在していることも事実ですので、どうしても給料ファクタリングを利用する場合には使えるかどうかをしっかり判断しておかなければなりません。
償還請求権ありのファクタリング

償還請求権が存在しているファクタリングについては認められていません。理由は返還することを請求できる可能性があるため、業者側としても利用するのが難しいと判断されるためです。
そもそも償還請求権というのは、金銭の変換を求めることができる法律上の権利として存在しており、何らかの問題が起こっている場合に適用して返してもらうことができます。10年間の期限は存在していますが、期限内であれば問題なく利用できる状況が生まれます。
ファクタリングで償還請求権をつけてしまうと、何らかの問題が起こった際に償還請求権を適用されてしまい、お金を返すように要求されるケースが出てしまいます。トラブルが発生してしまう他、利用者も事業者もおかしい状況に置かれてしまうため、償還請求権を付ける方法でのファクタリングは認めてくれません。
貸金業未登録の給料ファクタリング

給料ファクタリングについては、利用できる業者が制限されています。利用できる業者ではない場合に利用すると、トラブルになったり違反として後々問題となるケースがあります。
給料ファクタリングについては、貸金業者に登録していなければなりません。貸金業者に登録していなかった場合、給料ファクタリングは利用できないことが日本貸金業協会にて明確に記されています。
人の給与を買い取って金銭を交付し、個人を通じて資金を回収する「給与ファクタリング」を営む場合は、貸金業登録が必要です。
引用元:日本貸金業協会
しかし、一部の悪質業者が貸金業に登録していない状態でも、給料ファクタリングは実現できるという情報を出して実行しようとしているのは事実です。
給料についてもファクタリングの対象にできるのは事実ですが、利用できるのは貸金業に登録しており、お金を貸せることが明確化されていなければなりません。ファクタリング自体は貸金業登録が必要ないためサービスを提供するのは簡単ですが、給料については貸金業と同じ扱いを受けていることをしっかり理解しておかなければなりません。
業者の信憑性が不安な方は、利用する前に金融庁の登録貸金業者検索サービスを利用して確認しましょう。
ファクタリングに関するよくある質問
- ファクタリングは違法ですか?
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ファクタリングは違法ではありません。権利として認められているサービスです。
違法として判断されているのであれば、そもそもファクタリング業者は存在しないことになりますし、大手で提供している企業などは違反扱いを受けて処分されています。現時点で違反として処理されていないことを考慮すると、ファクタリングが違法という状況は生み出されていないのです。
現に売掛債権を売却して資金調達をするという方法は定番とされており、法律の範囲で認められているものです。一部問題となる事例は存在していますが、禁止されているファクタリングに該当しなければ利用できるため、違法という判断は受けないようになっています。
- 債権譲渡禁止特約で契約した売掛債権でもファクタリングできますか?
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2020年に法改正が行われたことにより、債権譲渡禁止特約がついている売掛債権についてもファクタリングの対象にできるようになりました。
以前は債権譲渡禁止特約で契約している場合、譲渡を認めていないことによってファクタリングが成立しないように作られていました。しかし、2020年4月より債権法が改正されたことによって認められるようになり、今まで禁止されていた範囲でも債権譲渡が成立するようになりました。
ただ、現時点でも例外とされている事例は存在していることもありますので、債権譲渡禁止特約がついているものについては業者側に確認してもらうなどして対応するのがおすすめです。適当に考えるのではなく、特約がついていることを明確にした上で安心できるファクタリングを実現していくことが大切です。